10月28日、今回で第3回を迎えるVijuttoke!!Festokke!!2016が名古屋で開催された。これまで3会場だった名古屋E.L.L.から、今年はDIAMOND HALL/APOLLO BASE/SPADE BOX/HeartLandの4会場に移し、参加バンドもその数を増し25バンドがステージに登場!

ヴィジュアル系バンドが総集結した感のある今回は、ダークでヘヴィーな名古屋系からきらやかでポップなオシャレ系まで、その多彩な顔ぶれも注目だ。

もちろん全ての会場を廻るのは不可能なため、私もファンの皆さんと同じく悩んだ末に『DADAROMA』『heidi.』『dexcore』『DIAURA』『藍-AI-』『アルルカン』を廻る事にした。

DADAROMA

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© Vijuttoke!! Festtoke!! 2016 // phot: Tsuyoshi Hayashi

SPADE BOXでの先陣を担ったのは、まだ若いがすでにヴィジュアル系バンドの中で確固たる地位と名声を得ているDADAROMA。自らのヒット曲の一つ「溺れる魚」でスタートした。会場がリズムに合わせ手拍子を打つ中、メンバーがステージに上がりそれぞれの位置につくと、ヴォーカルのよしあつの身の凍りつくようなシャウトと共にステージがライトの明滅で蒼い炎となって浮かび上がる。包み込むようなリズムにいざなわれて観客は金縛りにあったように期待に息を潜めている。だが曲が激しいビートに一転、よしあつが「名古屋!」と叫ぶや否や、観客も同時に凄まじいヘドバンに。これからもDADAROMAの代表曲としてセットリストに欠かせない曲となるだろう「溺れる魚」は、その灼けつくような熱いビートでフェスの幕開けに相応しい華を添えた。

間髪を入れず、裕介が2曲目「融け込めないザラザラの芸術を君が殺してくれないか」のリズムを刻み始めると、その跡を追うように優しくも心がザワザワさせられるようなメロディーが流れる始める。すると他の楽器が一斉に激しく音を立てたかと思うと、再び打ち込みのメロディーが流れる。

よしあつの心に沁みこむような囁きがゆっくりと、しかし確実に力を増しながらうなりとも叫びともつかないシャウトへと昇華したかと思うと、透き通った哀愁を漂わせるサビへと移り変わる。この美しいメロディーに彩られつつも急激に激しいリズムに巻き込まれていくこの絶望感は、初めてDADAROMAの作品を聴く者でさえ虜にしてしまうだろう。

「アパシー・ヒューマン」では最初のノートが聞こえるや、ステージも会場も狂ったようなヘドバンの嵐。よしあつも張り裂けるようなシャウトから澄んだ高音まで、持てる音域の全てを駆使し、曲の最後には顔いっぱいのニヒルな微笑を見せてくれた。

前半が抑圧されたエネルギーだとすれば、後半はアドレナリン全開のパフォーマンスだった。よしあつの振りに合わせ、観衆はヘドバンやジャンプ、会場を左右に移動したりこぶしを突き上げたりと、ステージからの壁のように押し寄せる怒涛のエネルギーを受け沸きに沸いた。しかしヴォーカルのよしあつの弾けっぷりには脱帽するしかない。「MONEY」ではステージを降り観客の間を歩き回る場面もあった。

30分あまりのセットはあっという間に終わりに近づき、ニューシングルのタイトル曲でもあるアップテンポの「夢タラレバ」、朋、太嘉志、裕介が舞台を降りると、残ったよしあつが感謝と共に投げキスを笑顔で贈ると「溺れる魚」をバックにステージを後にした。

セットリスト

1.「溺れる魚」

2.「融け込めないザラザラの芸術を君が殺してくれないか」

3.「アパシー・ヒューマン」

4.「トレンドアイデンティティ」

5.「MONEY」

6.「夢タラレバ」

heidi.

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© Vijuttoke!! Festtoke!! 2016 // phot: Tsuyoshi Hayashi

時を同じくして、APOLLO BASEではheidi.のステージが始まる。派手なビジュアルとは一線を画すスタイリッシュなカジュアル路線のheidi.。

DADAROMAが赤を基調とした暗いステージだったとすれば、白い照明に映えるheidi.のステージは正反対の印象で、ヴォーカル義彦の白い衣装もheidi.のイメージを強調していた。

「トワイライトタウン」和やかな表情の観客は義彦と一緒に手を叩きながら、リズムに乗って波のように揺れていた。

2曲目「ブレイズ」は馬の蹄の音を思わせるリズムが特徴的な曲だが、リリカルな場面ではリズムは遠のき、ヴォーカルの響きを愉しませてくれた。義彦の呼びかけに応えファンの高く掲げたこぶしは曲が終わるまで降ろされることはなかった。演奏が終わると、ファンが口々に叫ぶメンバーの名前が聞こえる中、ニューシングル「サクラアンダーグラウンド」を短くコールすると、新曲をファンに披露した。

ナオとコースケのソロはファンを喜ばせた。桐はラストに『カワイ~イ!!!』との掛け声を浴びていたが、演奏中は彼のドラムこそバンドの男らしい部分を感じさせてくれた一番の功労者だ。

セットを締め括ったのはノリノリの「おまえさん」。曲が終わるかと思いきや、気前よく再び「おまえさん」のサビが聞こえた時会場は狂喜に包まれた。この数分ファンはまだライブが始まっていないかのような歓びようだった。

セットリスト

1.「トワイライトタウン」

2.「ブレイズ」

3.「サクラアンダーグラウンド」

4.「幻想囃子」

5.「虹色レイン」

6.「おまえさん」

dexcore

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© Vijuttoke!! Festtoke!! 2016 // phot: Sachiko Ishihara

HeartLandに移動、この日までに知り得た情報はDEATHGAZEのドラマー直樹が始動する新バンドだという事だけだが、18:25の開演前にすでに会場は満員。

事前の曲発表どころか、メンバーもバンド名称さえ明かされないという秘密主義も直樹ほどのアーティストだからこそ逆に期待を高めファーストライヴにも関わらずこれだけの人の注目を集めるのだろう。

幕が開くと同時に会場からは直樹をコールする声があがる。暗闇の中を徐々に掻き立てるようなSEの中、黒づくめの4人がゆっくりとそして静かにそれぞれのポジションに立つ。そして1曲目のそのサウンドを聴いた瞬間、彼らがまぎれもない直樹率いる名古屋系のバンドであることがはっきりした。これほど強烈で狂おしいまでのドラムを聴いたのはいつのことだったろう?そのドラムのあとを追い唸る様なベースが絡み付き、ヴォーカルは高い歌唱力と凄まじいまでのシャウトで聴衆を圧倒した。

ステージから迸るエネルギーは観衆を掴んで一瞬たりとも放さなかった。数少ないリリカルな部分さえ、あたかも待ち構えているその後に続くの嵐の前の静けさように感じられた。

会場の反応はといえば大きく二つに分かれていた。ステージに近いグループはヘドバンをしつつもメンバーの一挙手一投足を見逃すまいとし、後方のグループは新しいこのバンドのサウンドを噛みしめるように聴き入っていた。

怒濤の演奏はMCさえ挟まず私たちが初めて耳にする新作5曲で会場を圧倒し、最後はオープニングと同じ様に、ゆっくりとそして静かにステージを後にした。終演後WEBで確認し明らかとなったそのバンド名はdexcore。公式メンバーは架神-kagami-(Vo)、tetsu(Ba)、直樹-naoki-(Dr)の3名。このライヴを聞いた今、皆さんがこれまでに聴いたどのバンドよりもブッちぎれたバンドに成長して行くだろうと自信を持ってオススメできる。1st シングル「The Dead Sea」は12月14日リリース予定。

セットリスト

1.「Hunger」

2.「The Dead Sea」

3.「New Song(名称未定)」

4.「Miserable Imposter」

5.「New Song(名称未定)」

DIAURA

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© Vijuttoke!! Festtoke!! 2016 // phot: Sachiko Ishihara

今回のフェス最大の会場DIAMOND HALLに移動すると丁度DIAURAが始まりだした。

幕が開くと闇に包まれたステージが姿を現し、背景には白いバンドロゴだけが浮き彫りになっている。ピアノと弦楽器による悲しげでいて美しいSEと共にステージが赤く照らし出され、ファンたちが手を揚げ、激しく点滅する照明の中をメンバーがステージに上がってきた。ヴォーカルのyo-kaが最後に姿を現す。ビジュアル系のその名に相応しいその出で立ちは、スタイリッシュなコスチュームに洗練されたメイク。だが、外見ばかりがウリではない。DIAURAはその激しさと豊かなメロディー性を兼ね備えた稀有なバンドだ。そこに彼らのパワフルなパフォーマンスが加われば、ヴィジュアル系最強と言われるのも不思議ではない。

今回は定番曲でもある「Cult」「Beautiful Creature」「MASTER」に加え、間もなくリリースされる3枚目のミニアルバム「MY RESISTANCE」から、「倒錯症レジスタンス」「Mr.Isolation」を加えた5曲を披露した。

メンバー間の連携、観客との一体感。広々したステージだがそれを感じさせてない彼らのステージングは激しく、佳衣と翔也は頻繁にポジションを変え、yo-kaの定位置を奪ってしまったりもしながらもそのテンポ感を崩すことなく、強烈なソロを聴かせてくれた。達也は正確無比なリズムを叩き出しメンバーを支え続けた。もちろん会場の注目を一心に集めたのはヴォーカルのyo-kaだ。指揮者のように聴衆を操り、その手を一振りするだけで、ホールのファンを右へ左へと自在に動かしていた。ヘドバンの合図はさっと帽子を取るだけで誰もがすぐに従う。yo-kaが体をくねらせて踊ったりアンニュイな目線を送るだけで、女性ファンはハートを鷲掴みされる事だろう。

DIAURAはそのハイレベルなパフォーマンスで知られているが、今回も最後列までも惹きつけて放さないその実力を証明してくれた。演奏が終わりメンバーがすでにステージを降りた後、yo-kaがバンドの旗を掲げ、その日の勝利を誇示するかのように何度か振った後、頭を下げ、オルゴールの音の中ステージは再び闇に包まれた。

セットリスト

1.「倒錯症レジスタンス」

2.「Cult」

3.「Beautiful Creature」

4.「Mr.Isolation」

5.「MASTER」

藍-AI-

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© Vijuttoke!! Festtoke!! 2016 // phot: Tsuyoshi Hayashi

次に訪れたのはSPADE BOXでの藍-AI-のライヴだ。DEATHGAZEのヴォーカル藍が一年前にスタートさせたソロプロジェクトだ。

ブルーライトの下、このセッションのために集まったサポートメンバーがステージでそれぞれのポジションを取る。藍が最後に姿を見せた。スポットライトが藍を捉える中、突き抜けるようなピアノのメロディーが流れ「DEPARTURE」が始まる。語りかける様に静かなヴォーカルが会場の空気を包み込むように響き渡る。ヴィジュアル系特有の高いキーとはかけ離れた藍独特の声は低音で力強く奥行きがある。それがスローな曲だけでなく、十八番のスピーディーなハイテンションの作品でも違和感なく見事に調和する。ピアノに乗せて始まったDEPARTUREはリリカルな印象から曲半ばで一転、ロックなバンドサウンド加わり曲に力強さが加わるとても印象的な曲だ。続く「GLASS SKY」インパクトを放った1stシングル曲で、ムードはガラリと変わり、エネルギッシュなパフォーマンスを見せた。

次は12月7日発売になるシングル「DESPAIR」から新曲2曲「DESPAIR」と「輪舞曲」が披露された。前者がヘドバンせずにはいられない激しさだとすれば、後者はオルガンの音色が耳に残るメロディアスで幻想的なものだった。凍りついたように動かないメンバーの周りを藍が音楽に合わせ猫のように動き回る。この光景がしばらく頭から離れなかった。

5曲目の「鴉」は、1度でもDEATHGAZEのライヴに行ったか、ライヴ音源を聞いた事がある人にはお約束の「イケルカイ?」という藍のアオリから始まり、DEATHGAZEを彷彿とさせるかのような激しい曲を更に引き立てるこの日のスペシャルなツインギターが圧巻だった。

ラストを飾ったのは「NEW CULT」。会場は狂気に満たされたかのように叫び声や激しいヘドバンで振り乱れた髪で蠢いていた。終始笑みを絶やさなかった藍は、投げキスを送り、気を付けて帰るようにという心遣いとともにステージを後にした。その後ファンたちの鳴り止まぬアンコールを願う声が続いのが印象的だった。

きっとまだヴェールに隠れている彼の潜在能力を自由に発揮する場所、ソロプロジェクトとしての藍-AI-の次なる楽曲が期待が膨らむばかりだ。

セットリスト

1.「DEPARTURE」

2.「GLASS SKY」

3.「DESPAIR」

4.「輪舞曲」

5.「鴉」

6.「NEW CULT」

アルルカン

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© Vijuttoke!! Festtoke!! 2016 // phot: Sachiko Ishihara

DIAMOND HALLのフィナーレを飾るという事は、フェス全体のメインでもあるという事だ。そこに登場するのはアルルカン。このまだ若いがそれでいて絶大な人気を誇るこのバンドは、イメージを一新して最新シングル「カルマ」に合わせた黒とシルバーのアグレッシヴなコスチュームに身を包み登場した。ファンタジーの世界から抜け出してきた戦士のようだ。芸術的なまでのヘアとメイクは新たなイメージに命を吹き込んでいる。だが、最新曲は公式リリースまで封印しているようで、今回はお預けとなった。

バンド名を象徴するかのように、ヴォーカルの暁はエキセントリックかつダークな道化(アルレッキーノ)としての自らの役割を演じ切っている。震える声とグロテスクな身振り、サイケな踊り。だが、ファンとの交流に関する限り奈緒をはじめ他のメンバーもリーダーにヒケは取らない。

実力派のバンド全てに共通する特徴だが、アルルカンも濃厚な世界観を持ち、今回もそれを見せ付けた。会場全体がリズムに乗り、1つの波となってジャンプにヘドバン、左に右にと移動しタオルを放り投げた。

ラストの「像」では正にお祭り騒ぎだった。会場は飛び跳ね、叫び、割れんばかりの拍手が溢れ、このショーの主役 暁が滑るように優雅にホールに降り立つと、ファンたちの中には興奮のあまり手を伸ばすも触れることは叶わず皆が道を開けた。しばらくファンの波間を歩き回り、再びステージに戻り、ファンがリズムに乗せられるまま最前列に押し寄せ暁を取り巻くと、それを彼はステージの淵に腰掛け満足そうに眺める姿が印象に残った。

最後に、暁は遅くまで残ったファンに感謝し深々と頭を下げ、この会場に集ったファンだけではなく、メンバーもまた熱狂のその空間の余韻に浸り、フェスは締めくくられた。

1.「ダメ人間」

2.「人形 -ヒトガタ-」

3.「ハッピーセット」

4.「omit」

5.「墓穴」

6.「像」

ここで紹介できるのは一部のバンドだけだが、どのバンドもエネルギー溢れる素晴らしいステージだった事は言うまでもないだろう。また来年、このフェスで輝きを放つ多くのバンドが集結するのを楽しみに待ちたい。

 

ライター:Ira Aleshina