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2023年1月15日 渋谷DESEO『KOHTA』“The begining of LIBERATION”ライブレポート!

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Angeloが無期限活動休止をしてから丸1年が経った2023年1月15日、KOHTAは渋谷DESEOのステージ・センターにいた。それは“The begining of LIBERATION”というライヴ・タイトルが示すように、正にKOHTAが自らを解放し始める瞬間。昨年12月25日には発音源『UNLEASH』を発表、ザクザク、ゴリゴリとした男臭いサウンドが、これまで在籍していたPIERROTとも、また活休中のAngeloとも異なり、ファンも驚嘆したであろうことはいうまでもないが、とりわけ驚かされたのはKOHTAの唄だ。血筋からして唄が上手いはずというのが大方の見立てだとしても、話し声とは異なる甘い唄声や、それと相反する雄々しい叫び、唄からほとばしる熱を誰が想像できただろう? 会場に詰めかけたファンは、渾身の1枚に込められたエネルギーの凄さをまざまざと感じつつ、幾度も繰り返し音源を聴き込んてきたに違いない。NUL.(元D’espairsRayのHIZUMI[Vo.]、defspiralのギター・MASATO[G.]、abingdon boys schoolなどで活躍中の岸利至[Prog.]のバンド)のサポートで昨年夏から度々、ステージには現れていたものの、KOHTAソロのライヴは正真正銘、今夜が初めて。ライヴは満員御礼、フロアはパンパン、オーディエンスの心も本人の登場を待たずして期待で胸がパンパン、張り裂けんばかりだったことだろう。それも無理はない、KOHTAがセンターに立ち、ベースを弾きながらヴォーカルをとるのは、紛れもなく今夜がお初。いわばココにいるすべての人たちは、ヴォーカリスト・KOHTA誕生の生き証人になりのである。

 ほぼ定刻どおりステージに照明が点り、SEとして昨年、KOHTAのYouTubeで真っ先に公開されたインストゥルメンタル「TERMINAL 01」(KOHTAによる実験的プロジェクト“CREATIVE×MOTION”名義の楽曲)が流れる中、オーディエンスの“KOHTA!”の歓声、手拍子に包まれながらサポート・メンバー、ギターのJEAN(THE VALVES)、ドラムのスズキ・アキラ(THE VALVES)が定位置に着くと、少し遅れて黒革のライダース・ジャケット姿のKOHTAが登場、ライヴは「UNLEASH NIGHT」からスタート。文字どおり、この夜に自らを解放すべく、今の心境を綴ったかのような歌詞に想いを乗せマイクに向かってKOHTAが吠える。バンドの最小単位、3ピースのソリッドなサウンドと、疾走感のあるビート。唄に情感を込めているからといってビートがブレることはない。続けざまにロカビリー調の「KICK OVER」の演奏へ。語尾で力を抜く唱法に感じる色気と、張り上げた声の男らしさのギャップにノックアウトされつつも、オーディエンスはしっかとビートに合わせて手を振り上げるのはさすが。息の合ったステージから放たれる音とフロアの一挙手一投足のシンクロ具合で、どれだけファンが1stライヴを待ちわび、音源を聴き込んできたのか?が十分に伝わってくる。そして、演奏が終わるたびに飛び交うKOHTAコール。コロナ禍での諸々の制限がこの日は緩和され、オーディエンスも開放されているようだ。続いて歌詞から失恋ストーリーがみえてくる「RAIN FADE」では、しっとりとした唄を披露。JEANの泣けるギター・ソロが唄の感情を増幅させ、ピアノの音とKOHTAの唄だけの静かなセクションが心を揺さぶり、ブツッと曲が終わるた瞬間、フワッと両手を広げるKOHTA。それがあたかも合図であるかのように、観客は盛大な拍手を送る。そして、一呼吸置いたところでタイミングよく男性ファンから“KOHTA!”と叫ぶと、ワッと沸き立つフロア。
“いきなりメンズの声、ありがとうございます(笑顔)。やっとこの日を迎えられました。今日、天気がよくなくて寒いですけど、ココは暑いですね。(今日は寒いから)革ジャンでも大丈夫かなと思ったんですけど…大丈夫じゃないですね(笑)”(KOHTA)
 会場から起こる笑い。KOHTAが汗っかきなことは既知の事実だ。
“なんだかんだで楽しんでいるんで。皆さんのおかげです。今日は何もしゃべるおこと考えてません。考えてもイイ方向にいかないんで。そういう時は得意なアドリヴで。皆さんに楽しんで最後までいただければ幸いでございます。最後までトバしていくんで、よろしく!”
 お客さんの反応を受け止めつつ、心を交流させた後、さらっとMCを切り上げ、「SLAVE TO THE GRIND」の演奏をスタート。ギターとベースのリフが一体となりぐいぐい引っ張るイントロに導かれ、淡々と繰り返される唄メロが重なり、転調しさびで一気に感情が爆発、という難しい展開にも関わらず、唄でもKOHTAは感情をガツン!と爆発される。それはきっと♪動き始めた物語が ホラ今目の前にあると Go ahead♪とあるように、今の彼の気持ちが歌詞に込められているからだろう。自分の言葉を伝えたい、という想いが根幹にあるのは間違いない。この曲中ではギター・ソロの後、メンバー紹介も挟むなど、小洒落た演出もあったりして、ライヴの流れもスムーズでスマート。“この曲から(KOHTAの活動は)始まりました”と一言、曲紹介を挟んで演奏された「PIECE OF MIND」。初音源『UNLEASH』の1曲目に置かれたこの曲は、いわばKOHTAのヴォーカリスト人生の1ページ目とも言えるもの。ゆえに、新たな第一歩を踏み出す決意が歌詞に綴られていることはごくごく自然なことだ。そして今夜、KOHTAの想いが旋律と共に目の前にいるオーディエンスへと勢いよく解き放たれた。
“今日はこれでラストになります。本当にありがとうございました”と挨拶し、唄から始まる「INNOENT PHASE」の演奏へ。アンニュイなメロディーの淡々とした唄メロ、サビでの展開で見えてくる大きな景色…1曲中で大きく波打つ感情を表現するのはヴォーカリストにとって容易いことではないはず、それもベースでリズムをキープしながらとなれば、なおさら。けれど、KOHTAは囁くような優しい唄から、感情のまま地声でがなる叫びのような唄までエモーショナルな表現を見事に披露。まだ産声を上げたばかりのヴォーカリスト、KOHTAの誕生を、オーディエンスは盛大な声援と惜しみない拍手で祝福した。

 …と演奏はKOHTAの『UNLEASH』に収録されている6曲のみで終了。曲数が足りないからとカヴァーをすることもなく、自分の曲だけで勝負とは潔い。そこには、純度100%のKOHTAを見せたい、という想いが強かったのだろうか。そういった部分も含め、男性ファンが“KOHTA!”と叫び慕いたくなるような、KOHTAの生き様、在り方が見え隠れしていたように思う。
 ただ、せっかく多くの人が集まってくれたのだから、ということで、演奏後にトーク・ライヴがあると事前から告知されていた。正確にはアンコールではないものの、会場に響き渡るアンコールの声。熱が冷めやらぬ空気の中、司会のミネムラ氏(The Benjamin、THE BEETHOVEN)に呼び込みで黒のパーカーに着替えてきたKOHTAが再び登場。メジャー・デビュー前はレーベル・メイトだった旧知の仲のミネムラ氏がお相手役ということで、KOHTAもさっきのソリッドで雄々しい姿から一転、緊張が解け笑顔がこぼれる。ミネムラ氏は滑らかな進行で展開されたトーク・コーナーでは、今終わったばかりのライヴの感想や音楽的なことをしっかり押さえつつも、Twitterで募集した質問、衣装、食に関すること等の柔らかい話題まで。我幅がSNSで見かけるKOHTAの駄洒落エッセンスも散りばめられ、お客さんは一字一句聴き逃すまいと真剣に耳を傾け、時に大笑いしたり。ここでトーク内容のすべてを記すことは難しいので、特に印象に残ったKOHTAの音楽的な発言をピックアップして少しだけ紹介しよう。
“人生初めてのセンター・ヴォーカルのライヴ、第一声発するまで、自分自身、よくわからなかったです。けど、唄い出して皆さんの顔を見たら、どこかほっとしたというか。これでやっと新しい形でスタートが切れたかなと思います。センターに立って、メイン・ヴォーカルとしていちばん気持ちよかった瞬間ですか? それは唄ってない時ですかね…冗談です(笑)。やっぱり「INNOCENT PHASE」とかのサビで、感情のままに声を張り上げてる時は気持ちよかったです。唄の表現は、どなたかの唄を参考にしたとか意識したとかはなく、自分なりにやれることをやらせていただきました。唄に自信があったとか、全然そんなのはないですよ。(Angeloが無期限活動休止した後)ホントはバンドをやりたかったんですけど、少しでも早くみんなの前に、どういう形でもいいから出たいという想いを優先させて、自分1人でやりはじめた。助けてくれる仲間もいたので、全員で楽しくやりたいなって。新しい形、お披露目イベント的な感じで、今夜は新しい形で魅せられたと思います。今後は当然、曲数を増やして、しっかりワンマンもやっていきたいな、と思ってます”
 今夜の1stライヴで、本当の意味でヴォーカリストとしての一歩を踏み出したKOHTA。荒削りだけれど心に刺さる唄、飾らずありのままで勝負するという姿勢は、ジェンダーを超えて多くのファンの心を鷲掴みにしたことだろう(トーク・コーナーでは今後、金髪にするかもという発言はあったが)。筆者は、KOHATAのこれからが楽しみで仕方がない。なぜなら今、ヴォーカリスト・KOHTAの活動には伸びしろしかないからだ。

文/増渕 公子[333music]
PHOTO/TOMOKI TAKACHO


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